自分の使う言葉が他の地域の人に通じなかった時、大体の人はそこで初めて「これは方言だったのか!」と気がつきます。
僕は方言に関しては、気になったらネットではなく辞典で調べるタイプなのですが、僕らの使う言葉は伝統的な八重山方言と微妙に違っていたりします。もともと持っていた意味が狭くなっていたり、逆に広くなっていたり……。
例えば、「からばい」を僕の家では(唇が乾燥すること)の意味で使っています。冬によく使う言葉です。「今からばいしてるから笑ったら口が切れて痛いさー」という感じで。辞典での「からばい」は「カラバリ」の形で載っており、(①あかぎれ②乾燥による手足の割れ③唇がカサカサになって割れること)と三つも意味をもっていました。
「カラバリ」から「からばい」へ音も少し変化していますし、僕の家族は③の意味しか知りませんでした。大竹家での「からばい」は意味が減ってしまったということになります。みんなの家ではどうでしょうか?
また、「がば」は辞典では(垢)を指す単語です。しかし、「皿についた油」や、「靴についた泥」の事をも「がば」と呼ぶ人もいたりします。伝統的な八重山方言の(垢)の意味が、ヤイマヤマトムニでは(汚れ全般)を指す傾向になっているようです。
言葉は生きています。音や意味が時代と共に変化していくことは自然なことでしょう。しかし、「八重山方言を残していこう!」という観点から考えると、こんな感じでたまに何かのタイミングで辞典を引いて昔の人たちが使っていた言葉の記録を振り返ることが大切なんだはずなぁ〜、と考えた芳典でした。
PROFILE

大竹芳典
おおたけ・よしのり/1995年、石垣市生まれ。八重山高等学校を卒業し、石垣島イーグル観光にて就職。八重山のガイドを通して島人の宝に気づく。その後、沖縄国際大学にて琉球文化を学びながら、国語の教員免許を取得。現在は本島北部にて教員として活躍中。