「何か八重山の方言喋ってよ!」
これは、八重山出身の人であれば、人生どこかのタイミングで一度、いや何度も言われるであろうフレーズです。
そんな時、あなたは何を八重山方言として島外の人に伝えますか? 「はいさい」または「めんそーれ」? いいえ、実は、「はいさい」も「めんそーれ」も私たちの島のご先祖が、実際に話していた言葉ではないのです。あの、有名な歌のタイトルにもなっている「アンマー」ですら、八重山方言ではありません。どれも、沖縄本島の首里・那覇を中心に使われていた言葉だそうです。
また、「ウチナーグチ」とは、沖縄本島の方言のことを主に指していて、宮古・八重山の方言に対しては使わない言葉だそうですよ。海で隔たれたこの琉球列島の数々の言葉は「沖縄方言」と一括りにはできず、実際には、上の図のように細かく分類されています。それぞれの方言は単語や文法の違いも多く相互理解ができないほど言語として離れているといいますから驚きですよね。石垣島の方言は、この図で言うと「ヤイマムニ」に当たります。
しかし、実際に私たちが話す言葉はおおよそ全国どこでも通じる「日本語」ですよね。そこに古くから使われていた「ヤイマムニ」の影響が見え隠れしています。このように「ヤイマムニ」が日本語の影響を受け変化した言葉を「ヤイマヤマトムニ」と私は呼んでいます。
次回からこのコーナーでは、そんな「ヤイマヤマトムニ」について考察していきます。皆さんが生まれ島の言葉に目を向けるきっかけになれたら嬉しいです。次回は「お前、ぴーふっただろ?」についてです。乞うご期待!
PROFILE
大竹芳典
おおたけ・よしのり/1995年、石垣市生まれ。八重山高等学校を卒業し、石垣島イーグル観光にて就職。八重山のガイドを通して島人の宝に気づく。その後、沖縄国際大学にて琉球文化を学びながら、国語の教員免許を取得。現在は本島北部にて教員として活躍中。